書評日記 第9冊
脳の見方 養老孟司
ちくま文庫

 NHKの特集で「脳の探検」(・・・じゃぁなかったような気がする)ってのがあった。その司会をしていたのが、養老孟司である。あ、呼び捨てにしちゃったけど、解剖学の教授なんだよな。だから、養老教授ないし養老先生と呼ばなくちゃならないんだけど、ここでは、ま、敬省略ってことでかんべん。
 で、彼の書いた本(教科書や論文はたくさんあるんだろうけど、こっちの方は一般書)の1冊が、「脳の見方」である。他に「人の見方」とか「涼しい脳味噌」など、5、6冊ほどある。

 私が最初に読んだのは「人の見方」だったと思う。その本は、前半がちょっと哲学っぽい話から、それを踏まえて、後半の解剖学にもっていったような感じだった。理系(?)の人にしては結構文章もうまいし、読ませる文の書ける人だと思う。んー、年上の人をつかまえてこんなことを言うのも変だけど、「一本、芯のある」人じゃないだろうか。だから、彼のいう話はすんなりと伝わってくるし、後半の解剖学の部分もおもしろかった。啓蒙書(なんだろうな、やっぱ)としては、希有に成功していると思う。

 私自身、理系だから気にならないのかもしれないが、普通はよくわからない理論を説明されても困ってしまうかもしれない。でも、最初はだれもよくわからなかったのだろうし、増して、よくわからないからこそ、よくわかろうとしたり、解ったときの楽しさが倍増するのじゃないだろうか。
 だから、私はときどき意識してでも、この手の啓蒙書の類を読む。講談社のブルーバックスなんかをぼちぼち買って読む。(まー、最近はブルーバックス自体がちょっと俗っぽいこと(パソコンとかインターネットとか)に流れているようなので買っていないけど・・・。)

 ま、説教臭いことはやめて、そんなことを抜きにしても養老さんの著作はちょっとおもしろい。

update: 1996/06/06
copyleft by marenijr