書評日記 第54冊
下町探偵局 半村良
廣済堂文庫

 一体、何人がここにたどりつけるのだろう。ってのは、夜久さんの真似。幸いにもまだ見ていない方はこちら・・・とはいえ、もう上書きしてしまったので、跡形もありません。しかたがないから、こちらの方へ、ただし、行ってってしまうと、BACKボタンでしか戻って・・・って、ああ行っちまった。全く、最後まで云わないうちに飛び出しちまうんだから、あわただっしったらありゃしない。ま、なんだね。そーいうおっちょこちょいはほっといて、そろそろ始めましょうか。え? 誰も聞いてないって? いいじゃあございませんか。誰もいなくっても・・・って、ん? という貴方は誰?

 一人芝居をネタに日記を毎日書いている人がいないかなあ、と思ってちょっと一人芝居風に書いてみました。(って、意外と多いと思うぞ。)

 さて、今日の一冊(もう、この書き出し、飽きた)は半村良の「下町探偵局」(廣済堂文庫)。廣済堂文庫なんてとこをご存じない方、普通です。俺も名前だけしか知りません。ご購入になりたい奇特な方、確か、角川文庫か新潮文庫のどちらかで出ているはずです。この表紙をみて欲しくなった方、どうぞ古本屋をあさってください。運が良ければ見つけることができるでしょう。
 実は、半村良はこの書評日記で以前に紹介済みである。ま、一人づつではなくて、一冊ずつというのが目的なので、一人につき何冊出してもいいのだが・・・ま、前のがあまりにもおざなりだったので再録ってことで。

 半村良。「このペンネームは、イイデス=ハンソンから付けた。」と云ったのは、船井だから真相のほどはさだかではない。ただ、そうだとすれば、イイデス=ハンソンが結構な歳なはずなのだが、ちょっと前(1年以上前になるが)に「枝雀寄席」で枝雀と話していた彼女は、それほど歳でもなく、日本語は流暢であった。(ということです。野原さん。)
 前のは、半村良の「顔」の話しかしていないので、今回はちょっとまじめに書評。
 俺が半村良に引かれるのはその伝奇作家としてのあやしさ(「妖星伝」とか「嘘部シリーズ」など)と下町臭さ(「晴れた空」とか「雨やどり」など)に惹かれるのである。で、「下町探偵局」は、その題名通り「下町」の話。だいぶ前に読んだので、詳しいストーリーは忘れてしまったが、シュチュエーションは「とある印刷屋にいる男が、超能力を持ってしまって。」・・・というのは「岬一郎の逆襲」である。うーん、忘れてしまった。見直せばいいのだが、あいにく手元にない。先日、本棚を整理したときにどっかにまぎれ込んでしまったらしい。
 ま、それはともかく、下町のおじちゃん、おばちゃんに囲まれた若めの探偵さんがなんかの事件を解決するお話である。・・・って書くとなんだかよく解らないが、それほど何が云々という話ではなかったような気がする。

 関係ないが、筒井康隆の「富豪刑事」も同じ頃に出たハズである。こっちの話は、ま、その名の通り金をがばがば使って事件を解決する話。もうひとつ余計な事を云えば、細野不二彦の「東京探偵団」ってのは、これの真似っこである。(ま、時代も下るし、舞台も異なるのだが、コンセプトは同じ。)

 なんで、半村良を語るときに筒井康隆が必ず出てくるのかよくわからないが、この二人の作家は俺がどちらに傾倒してもおかしくなかった人達なのである。というのも、俺がSFっぽくなSFに出会うのは、半村良の「妖星伝」が先であり、当時読んでいた中では、筒井作品よりも半村作品の方が多かった。
 それが、なぜ、筒井康隆に傾倒したのかと云えば、やっぱり「ふつうの作品は読みたくない。」からであろうか。・・・にしては、篠田範子の「贋作師」と柄谷行人の「差異としての場所」を同時に読める俺ってのは何者かは、俺にとっても謎である。

 あー、また、半村良の話でなくなってしまった。ちゃんと書評日記ってタイトル出しているのに、ま、いいか、ニーチェの言葉にすがろう。
 「寄り道は人間の一番人間らしいところである。」
 ・・・だったけ?

update: 1996/07/22
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