書評日記 第111冊
結婚行進曲

 今日は、何の日ですか?
 そう、全国的には「体育の日」ですね。東京オリンピックが開催された日です。日本は、その頃、やっきになって経済大国への道へと進んでいたわけです。そういう中、ひとつの世界の「認知」として、文化に理解のある国として、ひとつの成長を遂げるために、東京オリンピックが開催されたわけです。
 皆で、オリンピックをカラーで見よう、を合言葉に、皆で東京オリンピックを盛り上げよう、そして、戦後の日本を、戦後という混乱から抜け出して、経済的にも精神的にも豊かになろうとしていたわけです。ま、現在の日本を見れば、経済的には豊かになったかもしれないけど、精神的にはねえ、ちょっと、という面もありますが。それでもね、ひとりひとりの活動が、そういう「優しさ」があれば、いろいろやっていけるんだろうなあ、と思うわけです。

 んでもって、なんで、本日の1冊が「結婚行進曲」なのかといいますと・・・、ははは、云わないと誤解する人がいるからね、はっきり書きましょう。正雄さんと紀子さんの結婚した日なんですよ。あ、何方かの誕生日でありますね、おめでとうを申しておきましょう・・・ついでに。
 さて、正雄さんと紀子さんの結婚した日は、今日(10月10日)なんです。全国の皆さんが祝福して下さる日ですね。まったく、もう、うらやましい。実は、彼らが結婚した当時は、まだ、祝日ではありませんでした。そう、東京オリンピックの3年前に結婚しております。札幌の片隅にちっぽけな会社があり、彼は、そこに就職していました。ほんとうに小さな会社で、従業員が20人程度だったと聞いています。彼女は、看護婦補佐の仕事や、事務職をしていたそうです。ま、どういう経緯で出会ったのか、どういう経緯でそうなったのか詳しいことは聞いていませんが、あんまり裕福ではない二人は、結婚をしたわけですね。未来を信じて。
 結婚写真をみると解りますが、正雄さんは、ほんとうに痩せています。ちょっとね、頬がこけていて、きつい感じがします。紀子さんは、丸顔でして、今とあんまりかわりません。・・・って、おばさん顔だったのかといえば、まあ、そうかもしれない。ただね、にこにこしていることは確か。登山部にいたそうですが、岩壁を恐くて登れなくて、いつも下で待っていたそうです。
 行動的な彼女が、あまり趣味のない彼を誘ったのでしょう。今でこそ大分まるくなりましたが、若い頃はぴりぴりして結構恐い人でありました。ま、だからこそ、今の会社での地位があるんでしょうけど。会社では、やり手ですね。今では部下がたくさんいます。なんか、よくわからんけど、年始には、彼の部下の人が遊びに来ます。そういう人らしい。家ではさ、結構ずぼらなんですけど。

 あ、何を云っているのかわからなくなった。まあ、いいでしょう。結局、俺の日記だし、ま、そのうちに「本」にでもしますから。5年計画ぐらいの方がいいだろうなあ。あんまり慌ててもね、しかたがないし。その時、後悔しても遅いよーん、とかなんとか、私信を出したい気分ではありますが・・・やめ。

 話をもとに戻すと、正雄さんと紀子さんにとって、そういうわけで「結婚記念日」は忘れられない日になっているわけです。いや、別にこれが祝日にならなくても、絶対に忘れはしないでしょうね。なぜならば、正雄さんは、紀子さんの誕生日が近づくと、俺に「なんか買ってやれ。」といいます。また、紀子さんは、正雄さんの誕生日が近づくと、俺に「なにを買う?」と聞きます。
 子供の日には子供の日のように、クリスマスにはクリスマスのように、お正月はお正月のように、本当に節目節目を大切にしている人達です。なんかねえ、俺もその影響を受けて、そういう記念とか記念日的なものが好きなわけですよ。そういう足跡というか「節目」があるからこそ、なにかあってもその「節目」にあったこと、幸せだった、相手を信じていたその時を思い出して、辛い事があっても、なんか相手を誤解するときもあっても、なんだかんだ云って、なんとかなっていく。そういうものが「夫婦」なんだろうなあ、と思うわけ。

 えーと、銀婚式は過ぎています。
 正雄さんと紀子さんは、札幌に行くわけですよ。いやねえ、その前にちょっと安心させてあげたかったのかもしれないし、仲の良い彼と彼女に。よーわからんわ、俺の最近の行動は。ま、あと半年間は、心配かけないようにします。「淡淡」とやっていきます。その後は、わからんけど。

 さて、読み込みの甘い諸君諸嬢でも、もう、お解りでありましょう。
 俺の父親が、正雄さん。俺の母親が、紀子さんです。
 なんか最近の俺は慌ただしくて、人を傷つけてばっかりいるけど、でも、あなた方から教わった「優しさ」が俺を支えてくれるようです。ちょっとね、急速に巧くなってしまった「言葉」の扱いに戸惑っているようだけど、ひとである俺の芯の部分は、皆さん理解してくれているようです。

 だからあ、お母さん、俺が落ち込む度に、
 「事がおこらないように、気をつけなさいよお。」
 っていうのはやめてよ。
 その「事」ってのは、なかなか起こりにくいもんだから。それぐらいの自制心はついているつもりだから。いつまでも「子供」じゃないんだからさ。

update: 1996/09/09
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