書評日記 第637冊
ファインマンさん最後の冒険
ラルフ・レントン
岩波現代文庫
ISBN4006030975
ファインマンさん最後の冒険  物理学者リチャード・ファインマンは1988年に死去。この本は、「なにかおもしろいことをやってのけるファインマン」を残すべく著者ラルフ・レントンの目からファインマンを見た記録(というほど堅苦しくはないが)になる。
 最後の冒険は、当時ソ連いまロシアの中央アジア近辺にあるトゥーバに行こうとがんばっている姿になる。どちらかというと、当時学生であった著者レントンの奮闘振りが中心になるのだが、ファインマンたちがトゥーバに行こうという最初の目的はこの国の首都キジルのスペル「KYZYL」がおもしろいから、という理由である。母音がなくて子音ばっかりの首都がある国、その昔ソビエトに併合される前は切手の国として有名で、確かに私が子供の頃にもトゥーバという名前と切手収集家という人たちはひと括りだったような気がする。
 英語からロシア語からトゥーバ語に変換する辞書を探したり、国際電話をかけたり、あの手この手でファインマン達はトゥーバに行こうとするのだが、当時の冷戦時代のソ連においそれとはいけない。敵対するアメリカからというのが相当難しいようだ。その頃、黒澤明がソ連共同の映画を作っているわけだから、日本からソ連との関係はそれほど緊張したものではなかった(まあ、北海道防衛を考えればそうでもないだろうが)ものかもしれない。
 
 で、まだ半分くらいしか読んでいなくて、書評というか感想というか、を残しておくのも難なのだが、最近コンピュータ書籍(主にプロジェクト関係の本なのだが、ワインバーグとかデマルコとか)を読み進めることが多くなって、通勤時間はそっちのほうに取られている。文字から離れてしまったかというそうではなくて、場所が変わったというか実務書に置き換わったというか歳を取ったかというかというところである。
 そのうちコンピュータ関係はmymyで一挙に展開することとして、書評日記は書評日記でぼちぼち再開することにする。できることならば、blog形式で簡単にUpできたり、コメントを付けられるようにすればよいのだが、コメントを期待するのも変な話だし、また軌道に乗ったら考えよう。
 
 ファイマン自身、ノーベル物理学賞を取った偉い物理学者ファインマン教授としてではなく、おもしろい物理学者ファインマンさんとして覚えておいてほしい、ということなので、やっぱりこの酋長姿のファインマンを覚えておくのが一番よいだろう。
 ちなみに「トゥーバ友の会」というのがあって問い合わせは日本語でも可!とあるので、送ってみてもよいだろう。ソビエト崩壊後の新しいトゥーバを見られるかもしれない。
update: 2004/11/24
copyleft by marenijr