書評日記 第22冊
おいしい関係 槇村さとる
集英社

 なんだか、ちょっとマンネリっぽくなったら企画物が一番である、ってのは誰がいったかしらないけども、でも、それだって、やっぱりマンネリじゃないの?
 というわけで、少女漫画シリーズの第一冊。なんで少女漫画なのかという諸兄諸嬢(女性もいるらしいので、一応)もおられることだろうが、いままでの流れをハズすのにこれが一番かな、と思ったわけ。・・・でも、選んだものがあんまり少女少女してなかったりするのは、私の性格のせいかなぁ。

 槇村さとる著「おいしい関係」を紹介しよう。よく考えれば、雑誌 Young Youに掲載されているわけだから、少女漫画というよりもレディースコミックという分野になるんだけど・・・ま、いいか。
 槇村さんのは、「愛のアランフェス」・「ダンシング・ゼネレーション」のダンスものや、「白のファルーカ」のスケートもの他に「半熟革命」のようなケーブルTVのお話のような行動的なストーリーを描く。あと、単行本の雑誌一覧を見ればわかるんだけど、作品数が多く(当然、相対的にひとつひとつの話は短くなるが)現在に近いところでは、9時のTVドラマ仕立てのような1話完結の話がたくさんある。いわゆるテンポの早い、そして、槇村スタイルを確立していると思う。(槇村スタイルってのは、1話完結の漫画では、その出だしがほとんど同じ、コマ割りがほとんど同じという、まことに「ああ、槇村さんだ」というスタイルのことを云う。・・・ってのは造語だからね。)
 あと、少女漫画の作品としてはさばさばしていると思う。私(性別は男、・・・まさか、女だと思っていなかったよね、ってんで一応)にも読める(とはいえ、少女少女した少女漫画も読めるけど)し、どうやって知ったものやら、男性陣にも評判のよい漫画家である。もちろん、少女漫画だから女の子が主人公なんだけども(少年漫画だから、男の子が主人公であるとは限らない・・・ま、少女漫画もそうなってきているけど)その相方(?)も非常に男らしい。これは、槇村さとる(女性)の目からみての男性像なんだろうけど、私(男性)からみてもそれほど違和感のない、むしろ、自然な男性像である。そんな点で、槇村さとるは、まっことつりあいの取れたノーマルな人だと思う。

 さて、「おいしい関係」そのものの話なんだが、要は『料理業界(?)を題材にして、主人公の女の子がうんたらどーたらする話』である。「うんたらどーたら」の部分は、それは、ま、少女(レディース)漫画だからお決まりの三角関係云々があるけど、私はそれほど気にならない。ま、槇村さとる自身に信頼がおけるから、なんでもいいってのもあるけど。
 ちなみに料理漫画でも、「ミスター味っ子」のように『うまいぃぃぃ』の方じゃなくて、「ザ・シェフ」のように『コックさん』の話です。え?、よくわからない。んー、そんときは直接「おいしい関係」を読んでください・・・なぞと、書評らしからぬことを云う私。

 少年漫画からの脱皮、少女漫画からの卒業という形で、青年漫画なりレディースコミックなりがあるんだろうけど、私(等)漫画世代が、それほど、それらの雑誌に脱皮なり卒業なりを求めているようには感じられない。むしろ、モラトリアムとして、スタイルとしてのみの脱却をはかっているんじゃないだろうか、と思うときがある。そもそも、「卒業」してどーするのか、と思うんだけど、どーなのかな。

 なんか、書評というか感想というか紹介というか、単に私の個人的な感想になっちゃったけど(って2日前にも書いてるぞ、おい)、ま、いつものことです。
 そうそう、最後になっちゃったけど、これが第一冊ってことは、明日、第二冊を書きます。いちおう、第四冊までやるつもりでスキャナしてありますんで、そこんとこよろしく。

update: 1996/06/19
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