書評日記 第23冊
あなたに逢いたい 川原由美子
小学館

 少女漫画シリーズの第二冊めは、川原由美子の「あなたに逢いたい」。川原さん、「クライム・ザ・マウンテン」でどっか飛んでいっちゃって以来、どーしてんのかな、と思ったころに出た作品。でも、92年出版になってるから、もう4年も前になるんだ。最新作は、多分、「観葉少女(プランドール)」だと思う(こっちの方は、ちょっとどっかにまぎれてしまっている)。

 川原さんの代表作は、「前略ミルクハウス」じゃないかと思う。あとは、「KNOCK」とか「ソルジャー・ボーイ」とかがある。「ソルジャー・ボーイ」の方は、全編ちょっと暗めの(とはいえ、そこはかとなく川原さん特有の躁状態に陥ることがあるのだけど)話で、ま、それはそれでいいんだろうけど、私としては「前略」の方が好みである。(って、私の好みを聞いたってしかたがないだろうけど・・・)別に、全編を通してのストーリーたるものがないのは、高橋留美子の「うる星やつら」や「らんま1/2」とおなじ雰囲気をもっていると思う。結局、おおぼけの主人公(?)芹香嬢をとりまくどたばたの毎日(月刊だから、月々?)を描いているわけなんだろうな、やっぱり。私は好きなんだけど、今、「前略」みたいな漫画ってあるんだろうか。ほのぼのというのか、ひじょーに日常っぽいというか、同レベルでつきあえる漫画を持った世代(私の4、5年上らしい)は幸せだと思う。

 池田理恵子のように、川原由美子が少女漫画の大御所であるのかどうかはよくしらないけど(少女漫画の研究みたなページをみつけていないので・・・)、「前略」当時とあまりかわらないペースで、「あなたに逢いたい」を続けられる漫画家ってのは、いったい何者なんだろう。いわゆる、『大人になれない(結婚できない)少女漫画家』ってやつなのかもしれないけど・・・最近、描いてない(でも、ミスティという雑誌にちょこちょこ載っていたと思う)から、なんらかの安定収入があるんだろうな。ってことは、結婚してるんかな?・・・って、そこんところはどうなのかしらん。

 「あなたに逢いたい」は演劇少女を主人公にした『リリカル・ハートビート・ロマン』(って裏表紙に書いてある)だ。ギャグっぽいものが少ないので、ちょーっと私(等・・・って誰?)にはきつい部分もあるかもしんないけど、そこはそれ、お手てを口の前にあわせて(って動作が川原さんはよーく描く。)少女少女してみるとちょっとは理解できるかもしれない。

 んー、ここまで書くと「いったいあんたは何者?」という言葉が聞かれそーだけど(でも、来たことはない・・・)、ま、そのうちなんらかの(自分の整理も兼ねて)プロフィールなりを書(描)こう。
 あと2冊あるけど、よくわかる人も、よくわからん人も、ちょっと付き合ってみてね。

update: 1996/06/20
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