書評日記 第29冊
巡洋艦サラマンダー 谷甲州
早川文庫

 ところで、勝手にスキャナでとりこんで、インターネット上で公開して大丈夫なの、というメールは来たことがないので、自問自答してみる。「禁転載って書いてないから大丈夫じゃないかなぁ」、なんて呑気なことを思っている。ただし、著者近影の方は「禁転載」と書いてあるので(最近の本には書いてある。じゃあ、昔の本のは転載してもいいのかな?)ちょっと載せるのはためらわれる。まぁ、そんなことは(そんなことで片づけられてしまっては、困る人もいるかもしれないが)明示的に抗議が来てから考えることにしよう。

 というわけで、今日は谷甲州著「巡洋艦サラマンダー」をお送りしよう。これは、「航空宇宙軍史」というシリーズの一冊で、他に8、9冊ぐらいでているハズだ。例によって、私の散乱した本箱から到底見つけられない(だから、新しい本を買わざるを得ないという、妙な動機におそわれるのかもしれないが)ので、青年人外協力隊という谷甲州FAN倶楽部のホームページがあるので、詳しくはそれを参照して欲しい。(なんて、リンクって便利なんだ。あ、と、そこを押すのはこれを読み終わってからにしてね。)ただ、隊長(谷甲州のこと)のひとことに『隊長なんか書いて下さい。』と書いてあるところを見ると、私的なFAN倶楽部かもしれないけど・・・。
 私もあんなのがやりたいんだけど、もう結構やられちゃってるし、それに「この人が一番」というひとがいないので(言葉を変えれば、一番がたくさん居すぎるのだ。)、全部やろうとすると大変な労力になるし、それに私に与えられたスペース(ソネットでは、3Mで1000円)はそれほど多くないのでちょっと難しい。それでも、ま、参照リンクをはることで(この「はる」は「張る」なのか「貼る」なのか)なんか幅が広がるし、結構べんり(感謝しています)。

 話を元にもどすと、航空宇宙軍史シリーズでは、火星から内側の地球軍とその圧力に耐え兼ねてやむなく独立戦争をせざるを得なかった外惑星連合との戦争(というか小競り合い)の話である。スペースオペラの戦争ものとしては、田中さんの「銀河英雄伝説」が有名である。「銀英伝」は、帝国軍と地球連合軍(だったけ?)の壮大なスペースオペラ・スペースオペラしているけど、谷甲州さんのは「地味」である。
 なんせ、爆弾がボンともはじけない。石つぶてを投げて(というか置き石をして)相対速度で相手の戦艦(というほど大きくない)に穴をあけたり、地雷を回収したり、狂った戦闘衛星をかたづけたり、となんだが、満州事変をちまちまやっているような感じがしてほほえましい。というか、戦闘とはこんなものかもしれない、というわびしさがそこにはある。事実、このあとの架空の満州事変シリーズと軌道傭兵シリーズと称してスペースシャトルを題材にしたものがあるが、SFの世界でも現実の世界でも重力加速度は一緒である、という前提が生きている。

 なんか、単なるFANの話になっちゃったけど、谷甲州さんの作品はハードSFなんで好きだし、話の進め方がすきなんでほとんどの作品は持っている。ちなみに、「航空宇宙軍史」のシリーズは早川文庫で出ているけど、ほとんど絶版状態だそうだ(と青年人外に書いてある)。
 早川さん、岬兄悟の「どどんぱ」シリーズなんてやってるとツブれちゃうよ(フォーローしとくと、「どどんぱ」は2冊ぐらい読んだ。結構おもしろいけど、「航空」を無くしていいとは限らないぞ。・・・とわけのわかんないことを云う)。

 最後になったけど、著者略歴によると彼は昭和26年生まれだそうだ。中央公論社で出ている(C・NOVELSってやつ)「攻撃衛星エル・ファラド」の裏表紙に載っている彼の写真をみるとそれほどの歳とは思えない。(しかし、目線はどこにいってるんだ?)
 あ、そうそう、これにも「禁転載」って書いてない。ってことは、ここに載せてもいいのかな。

update: 1996/06/26
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