書評日記 第32冊
チャップリン自伝 チャーリ・チャップリン
新潮文庫

 今日は、ちょっと早めの更新。いつもは、午前1時頃の更新なんだけど、今日は午後1時の更新(の予定)です。「歴史(轢死・・・に引っかけるのは横田順弥のギャグ)は夜つくられる。」と言われるけど、夜ってのは魔の時間だから、あまり考え事をすると独りがちにになって、どつぼにはまる。
 私は若いんじゃなくて、蒼いんだ。(この部分、辞書を引いた。わけは、柳瀬尚紀著「辞書はジョイスフル」を読めばお分かりいただけるだろう。新潮文庫の新刊である。)

 さてと、本日の書評対象は「チャップリンの自伝」。もちろん、チャーリー=チャップリンの著作である。当然、チャップリンが書いているわけだから、彼が死ぬまでのことが書いてあるわけではないのだが、かなり老いたところまで書いてあるので、彼の振りかえる(思い出して書いたのだから、多少の感傷は含まれている可能性はある。事実、この自伝の上巻ではかなりの毒舌が含まれている。)人生は、単なる思い出というよりも、かなり客観的に捉えられていると思う。

 チャップリンの映画については、多くを語るまい。というか、私が語ったところで、数々の批評家乃至研究家が、膨大な資料を提供して下さっているので、それを参照されたい。ただし、私はチャップリンFANではあるものの(とかいうと、手塚FANとか大岡昇平FANとか言わなくちゃ・・・というのは前にやったな。)現在手元にあるチャップリンに関するものは、この2冊の本とTVから(教育TVで時々やっている)とったビデオ数本(四角いから、数箱か?)にすぎない。ただ、映画の方は、TVでやっていさいすれば見るようにしているから、すべての映画は知っているハズである。
 チャップリンの映画は、「キッド」に代表される人情もの、「独裁者」に代表される批判もの、そして数々のドタバタに3分される(別に分類する必要はないのだけど)。うちのおやじ曰く「チャップリンって笑うと気持ち悪いな」。なるほど、人情ものをチャップリンの人柄が垣間みられるやさしい作品、などと考えてしまうと、その「微笑」は映画の中心にくるものなんだろうけど、チャップリンの演技がドタバタで「ひとの尻をけとばす」ような強い嘲笑に裏付けられているとすれば、その微笑はまことに「きもちわる」ものに(余計なもの)にならざるを得ない。
 今の私達はチャップリンの映画をリアルタイムでみてはいない。(まして、インターネットで「おやじ」と称される方々に、おられるわけがない。)だから、チャップリンの初期作品であったドタバタ(このころ、他にも有名な喜劇役者がでている。チャップリンも彼らと共演している。それが誰であるかは、忘れてしまったけど。)と、売れてから以降つくられた人情ものとをごっちゃにして見ているから、チャップリンの内情の変化についていけない、というかついていく必要がなくなってしまって、「彼の作品を3分すると・・・」のような分類が必要になってしまうのである。
 読むとわかるけど、若い頃のチャップリンは実に自己顕示欲の強いひとだ。だからこそ、あれだけの作品群を残せたのである。続いて下巻を読むとわかることだが(日本語訳の下巻が出たのは、実に10年かかったのではないだろうか。だから、私が上巻を読んで「チャップリンって結構いやなやつ」と思ってから、下巻を読んで「売れるということの苦悩」を知るまで、なんと長かったことか。その間、私自身も、中学生から大学生まで成長してしまった。)チャップリンは私生活が結構わやくちゃである。結婚離婚の繰り返し、それに伴う訴訟、映画会社との契約訴訟、売り込み活動、などなど。
 そんな中で、彼は映画という架空の現実で「<きみわるく>微笑まなければならなかった。」のである。

 話は変わりますが、最近、小林信彦を読んでいます。以前は2冊しか読んでないのに、批評してしまったので、ちょっと読んでみることにしたのです。そう、『なんとなくうさんくさい』の理由がわかりました。一連の「オヨヨ」シリーズを知って(当時は読んでいない、今は1冊だけ読んだ)なんか嫌、と思ったのでありました。
 そう、それで彼の著作「日本人の喜劇人」(新潮文庫)を読んでいるのですが、詳しく書いてあって、かつ、おもしろい。当然、出版が古い(初出は昭和46年晶文社、この文庫でも昭和57年)ので古いコメディアンしか出ていないのですが、古い笑い(すたれた笑いという意味じゃないよ)を知りたい人にはお薦めです。

 なお、最後になりましたが、<IMG>タグのALTパラメータに「本の題名:著者:出版社」を書くことにしました。理由は、その本を買うのにいまだに出版社の指定が必要であること(ま、無くてもなんとかなるけど、本屋では出版社別に並べてあるのが普通であるので)、それに盲目の方並びにテキストブラウザを使っている方には、表紙のイメージのかわりに、書名を明示的に提示すること。(いや、抗議が来たわけじゃないけど、私なりの「配慮」です。)文中に題名を書くようにしているけど、タイトル部分(表紙のイメージはその日のタイトル代わり)にも書名があったほうが読みやすいでしょう。

 ・・・と、と、と。手を抜かずに書いたら、こんなに長くなっちまった。作成時間だいたい1時間。はやいんだか、おそいんだかか解らんけど、24時間中の1時間のウエイトはでかいよな、やっぱ。

update: 1996/06/29
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