書評日記 第33冊
ジョーンズの世界 フィリップ.K.ディック
創元推理文庫

 今月最後の一冊(今週最後の一冊でもある)はフィリップ=K=ディックの「ジョーンズの世界」。
 ディックの邦訳は、早川文庫・創元推理文庫・新潮文庫で出ているけど、これは、創元推理文庫の方。マニアなところでは、サンリオ文庫があるのだけど、今は版元がつぶれてしまって、再版される予定はないし、古本屋に行ってもあれば、2000円程度の稀少本扱いになっているので、ちょっと「読む」というわけにはいかないから、はずしておこう。ちなみに、この3社(ただし、新潮文庫では、3冊(かな?)しかでていないので問題にはならない。)からはダブってでているわけではないので、すべて買い揃えておいても支障はないので、ご安心を。(と、書いたが、あとがきに『内容的にはダブりがあり、現在53冊の邦訳がある。』とあるので、注意しなくてはならないかもしれない。ただ、手に入りやすい文庫はその限りではないと思う。)ま、もちろん、これは翻訳権の問題があるから、ダブるはずがないのだが・・・。

 知らない人は知らないし、知っている人は当然の如く知っているので、ちょっと書くのがためらわれるけど、ディックは意外と古い部類に属するSF作家である。詳しい年表は忘れたけど「ジョーンズ」の裏表紙には、『ディック50年代の名編』と書いてある。アジモフが呑気なSFを書いていたり、アーサー=C=クラークが間抜けな火星人を書いていた時代に(アジモフやブラウンを下に見るわけではない。ただ、次元(平行次元)が違いすぎるのであまり比較にならないのである。彼らは物理学者であったから、ハードSFを書いた。ディックは、元の職業を忘れたが、ともかく、インナースペースのSFを書いたに過ぎない。)ディックは、超能力者(特に、未来透視者)を登場させ、精神的なSF世界を構築したにすぎない。この分野は、ポーが先駆だと思うけど、彼をSF作家と呼ばしめるのは、ちょっと(かなり?)気が引けるので、ディックが先駆であることにしておこう。
 アメリカでは、ディックの研究は盛んであることを聞く。その辺は、SFマニア(私は、SFファン)の方が詳しい。ディック関係のホームページも数多く、検索ページであたると(日本語ならば「ディック」、英語ならば「Dick」)アメリカではかなりの数が検索された。あいにく、私は日本の本にはちょっと詳しいけども(33冊も書いているのだから、「ちょっと」ぐらいはつけても、いいよね。)英語には弱いので、com ドメインのディックのページに行っても途方に暮れてしまうだけで、なんだかよくわからかなかった。(自動英訳ソフト「こりゃ英和」を買ったのだけど、なんか、翻訳がトンでもないので、かえって文脈を理解するのに苦労する。ただし、これは安いのでこんな程度なのかもしれない。高いやつ(5万円以上の)を買うともうちょっとはいいのかな?)

 さて、前置きが長くなってしまったが、実はこの「ジョーンズ」、あまりよく覚えていないことに気が付いた。やっぱり、「ヴァリウス」(神になろうとする話)・「タイタンのゲームプレーヤー」(ゲームで惑星の動向を決める話)・「アルファ系惑星の人々」(だったかな?)(精神病患者の惑星の話)・「模造記憶」(シュワルツネッガーが主役をはった映画の原作)の方がよかったかな。ひょっとしたら、買ったはいいけれど途中まで読んで、うっちゃらかしてしまったのかもしれない。ちなみに、今週私の買った本を並べると、「辞書はジョイスフル」柳瀬尚紀・「快楽の哲学」澁澤達彦・「日記の虚像」紀田順一郎・「ガープの世界(上)」ジョン=アーヴィング・「第一阿房列車」内田百閨E「文章読本」丸谷才一・「勝海舟の嫁 クララの明治日記(上巻)」C=ホイットニー・「ダブリンの市民」ジョイス・「蕎麦ときしめん」清水義範・「中年クライシス」河合隼雄・「セーラムーン14巻」武内直子・「虹色のトロツキー第6巻」安彦良和・「We are」渡辺多恵子である。今週はちょっと多かったけど、しかし最低週4冊は買ってくるから(古本も含めるし、文庫ばかりだから、たいした値段にはならない)読まない本が出てきても不思議ではない。(上の本で読まない可能性があるのは、「ガープ」と「文章読本」か・・・)完全に活字依存症である。

 なんか、ディックの話(いや、一冊を書評するのだから、この場合は「ジョーンズの世界」か。)にならなかったけど、ディックについては、再びこの書評日記で取り上げるなり(少なくとも100冊は出来そうな自信がついた。)ディックのページを再説ページを作るなりして紹介していきたいと思う。

 そういえば、この日記。結構、誤字・脱字・勘違いが多い。自分で読み直しているときに、ちょこちょこ直しているのだが、リンクを貼ってあるべきところに、リンクが貼っていないのは、一番まずいと思っている。ただ、書いているときは、リンク先を忘れてしまった(ブックマークが、会社にあったり、家にあったりするので)ときが多い。2、3日中にはちょっと修正をして直すことにしているので、その辺、ご了承いただきたい。
 そうそう、「(忘れた)」とか「(だったかな?)」もぼちぼち直すつもりです。

update: 1996/06/30
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