書評日記 第45冊
夢の10分間 豊田有恒
講談社文庫

 近藤ようこ「猫っかぶりゼネレーション」全26話を読了。大学生時代、「HORIZON BLUE」を読んで、うーんと唸らされたのであるが、(内容は、「母親の子殺し」について。)この「猫っかぶり」にしても同じ。石坂啓の「安穏族」とおなじ雰囲気を持つが、どちらが先なんであろうか。どちらにせよ、女性女性したところが、イイ感じの漫画である。

 駅前の本屋に行って、高橋和巳の「悲しい器」、原田宗典の「優しくって少しばか」、江國滋の「日本語八つ当たり」、養老孟司の「考えるヒト」、おおや和美の「眠り姫Age」1巻め、吾妻ひでおの「アズマニア」3巻め、そして、近藤ようこ「猫っかぶり」を買う。
 そうそう、先週だか発売されたはずの半村良の新刊がない。またあとで、と思っていたのがまずかった。いったいどこの出版社だったか忘れてしまったので、ま、そのままにしておく。運が良ければ見つかるはずだ。(井上ひさしの新刊も)
 講談社の棚に我孫子さんの本を見つける。ミステリー作家の方だったらしい。手にして、あとがきを読み、棚に戻す。

 出がけに、久々に、ハービー=ハンコックを聴いてゆらゆら揺れたので、3階のレコ屋にも寄っていく。キース=ジャレット「ウィーン・コンサート」、B=B=キングの「ライヴ・アット・ザ・リーガル」、を買う。(今、壊れているハズの弟のコンポでかけてみる。何故か、運よくかかる。好みらしい。キースのピアノ、低音が響いていい。キースの鼻歌も好き。)

 午後3時、傾きかけた日差しを横に浴び、喫茶店に入る。うちの近くにはろくな喫茶店がないのであるが、しかたがない。380円也のホットを頼み、買ったばかりの、「悲しい器」開く。動機が不純であるので、まず、プロフィールを見る。ああ、なるほど。最初の数ページを読んで閉じる。
 近藤ようこを取り出して、読む。「HORIZON BLUE」とは違い、高校3年生の少女達(?)のお話であり、軽い。石坂啓の「安穏族」を思い出す。ラストシーンを読み。俺の時間軸が狂っていることを知る。なんで、こう次々と同じものにぶちあたるのだろうか。

 午後5時まえ、喫茶店を出る。 ゲーセンに寄って、「マジカルドロップ2」を3回だけやる。落とし物ゲームは、なんにも考えなくていいというか、なんか考え事をするには、いいものである。(キース、低音がうるさいぞ。近所迷惑だ。・・・、あ、今、小さくなった。)
 単純作業で頭がしびれる。ま、オナニーと変わらないのであるが・・・、なんらかの啓示を受けるときもある。だから友人とゲーセンにはいかない、はずかしいので。

 家に帰って、ごろりと横になり、「フィガネンス・ウェイク」を数頁読む。あんまりたくさん読むと、もったいない、というか、たくさんは読めない。ほとんど音読する気持ち。
 吾妻ひでおの「アズマニア」を読む。そうか、これが不条理SFだったんだ。阿素湖素子が出てくる。和佳-chanの絵はここからだろう、なぞと、自己納得。俺も今度、まねしてみよう。

 疲れたんで、昼寝(?)。

 7時に起きて、夕飯を食べる。
 さんまと所のなんとか、というトーク番組を見る。久々に所ジョージを見る。瓢々としているところが好き。さんまも好き。ひょうきん族の時からずっと好きである。

 PPPでソネットに繋ぐ。
 会社では、繋ぎっぱなしだけど、家だと電話代&接続料金がかかるので、ちょっとドキドキする。あっちこっちの日記を巡回。(いつまでも、喫煙日記に頼っていてはいけないので、自分用のをつくらなきゃと思う。)訪問ボタン、あれば、押す。うれしいだろうから。なかったら、ま、面倒なんでそのまま。
 あー、フリーソフトとか作らないと。個人日記用に「愚痴帳」なるものを考えた。起動して、メモって、セーブするだけなんだけど、ファイル名を入力しないで済む、ってのがミソ。プログラマな皆さん、作ってみない? 俺も作るけど。

 ただいま、キースのウィーン1の演奏終了。拍手。続けて、ウィーン2。

 さて、本日の書評。
 なんか、あちこちで本の紹介とかしているから、立場がない。とかなんとか意識過剰になってしまう、俺。
 今日は、ちょっと気分を変えてA面は、行動日記風、B面はいつも通りの「100冊」ってことで。

 さて、豊田有恒著「夢の10分間」(講談社文庫)は、遥か昔、俺が中学生だった頃に、ラジオドラマでやっていた。それに、この本自体も古い(古本屋でみつけて買ってきたし。)のででも講談社で出ているかどうかはわからない。
 「有恒」という字面から、『結構な年であるかな、と想像されるが、それ程の歳ではない』とあとがきにあったりするが、今となっては、歳な方だと思う。(今、あとがきを見たら、鏡明になっている。うーん。)
 豊田さんのピークは(悪いけど)これ近辺じゃないだろうか。ショートショートがピークであった時代とともに、下降線を辿ってしまったような(それは、俺自身が、「ショートショート」というものにあまり熱を入れなくなったからのかもしれないが)感じがする。最近は、ノベルズ系でちょこちょこ書いているのをみかけるが、「夢の10分間」以前も以後もあまり面白くない。(「面白くない」と書いてしまうと、面白いと思っている方に悪いのだけど、俺の思っている豊田さんと、貴方の思っている豊田さんは、違うものなので、比較にならないのだと思う。自分の好きな本が、ケナされていると、自分自身を否定されてしまったような気がするが、そんなことはないと云っておこう。俺は、俺だし、貴方は、貴方だし、豊田有恒の本はそれにすぎないのであるから。)

 長いな、キースの演奏、まだ終わらない。

 さて、「夢の」を知ったのは、ラジオドラマであることを先に書いた。俺にとって、ラジオドラマは大きな影響を与えている。この「夢の10分間」しかり、筒井康隆の「未来都市」しかり、干刈あがたの「ウホッホ探検隊」しかり、「マイケルジャクソンの遊園地」しかり、「なんて素敵にジャパネスク」しかり、東海林さだおの「ショージ君の青春記」しかり、横田順弥の「横断歩道」しかり、「名画誕生」しかり、「怪人20面相シリーズ」しかり、「ボス」しかり、ミヒャエル=エンデの「モモ」あとは題名を思い出せないけれど、いろいろな作品を中学から高校時代に聞いた。

 ただいま、キースの演奏が終了。拍手。

 というわけで、俺の今日の「100冊」もこれにて終わりにしよう。
 〆の言葉はこれ。

 「どや? これほど名詞だらけの、日記もあるまい。」

update: 1996/07/13
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