書評日記 第83冊
闇夜の本 坂田靖子
早川書房

 楽しいことが起こったならば、ひとに話したくなる。その人が楽しくなるだろうから。楽しい気分を分かち会いたいから。
 悲しいことが起こったときでも、ひとに話したくなる。自分の悲しみを分けあって欲しいから。ひとりで悲しみを抱えるのはあまりにも辛いから。
 怒ったことがあっても、ひとに話したくなる。何故、怒ったのかそれを確かめたいから。本当に、怒っていいものか、不安だから。

 でも、一番話したくなるときは、素敵なことがあったとき。一日一日、いろなことがあると思う。ひょっとしたら、ないかもしれない。ほんとうにないの?ネタがない?
 そんなことはないでしょ。俺はこんなに云いたいのに、毎日毎日、日記を書いて公開しているのに、云いたくて云いたくてたまらない。ひょっとしたら、ずっとしゃべっていたいぐらい。一日中しゃべっていたいくらい、話題はたくさんあるのに。

 もっと、物事を確かに見つめなさい。
 何を見落としてしまったのか、気付きなさい。
 そうすれば、きっと、書くことがみつかる。
 云いたいことが見つかる。

 読者のための作家シリーズの二冊めは、坂田靖子の「闇夜の本」(早川書房)です。
 大学時代、古川先輩が好きだった漫画家です。あの頃は、なんか、ちょっと恥ずかしくて、読むことを避けていました。あまりにも、「夢」が前面に出ていて、ちょっと、あまりにも・・・という感じでした。

 今、俺は彼の年を越えました。なんか、越えてはみたけれど、古川さんの、その、「豊かさ」に追い付いたようが気がしません。いろいろ、教えてもらいました。別に彼にとってなんの得にもならないのに。ほとんど、毎週のように飲んだ酒の味、酒の種類は、俺の人生を豊かにしてくれました。ありがとうございました。

 坂田靖子の漫画は、そんな古川さんを思い出させる漫画です。もちろん、あなたは、古川さんを知らないでしょう。でも、坂田靖子の漫画を読むことで、古川さんを知ることができます。そういうことなんです。本を読むということは、なにかを共有するということは、そういうことなんです。わかるでしょう?俺の気持ちが。

 BGMは、矢野顕子「ただいま」より。
   春咲小紅

春咲小紅 ミニミニ 見に来てね
わたしのココロ ふわふわ 舞い上がる

いつ咲くかしらと 待ちぼうけ 指折り数えて いたかしら
お返事出します 微笑みの どこかにポチッと 赤い色
わたしに逢えばわかります
自分で言うのも ヘンだけど 今日はなんだかキレイです

春咲小紅 ミニミニ 見に来てね
陽だまりかげろう ユラユラ 春の夢

春咲小紅 ミニミニ 見に来てね
ガラスの花びん キラキラ 午後の星

春夏秋冬 そして春 やさしいあなたを 見つめていた
お返事おくれてごめんなさい 窓の景色も とりかえて
あなたがくるのを待ってます
自分で言うのも ヘンだけど 今日はなんだがいじらしい

春咲小紅 ミニミニ 見に来てね
思い出回る くるくる かざぐるま
春咲小紅 ミニミニ 見に来てね
わたしのココロ ふわふわ 舞い上がる
春咲小紅 ミニミニ 見に来てね
わたしのココロ ひらひら 踊っている

update: 1996/08/27
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