書評日記 第96冊
愛の矢車草 橋本治
新潮文庫

 ネットおかまという言葉があります。インターネットなんて顔が見えないから、男も女も解りませんよね。特に、こういう文章ばっかりの場合、なにかを勘違いしたり、また、故意になにかを勘違いさせたり、そういう「お遊び」をするわけですが。
 幸い(?)にして、俺はネットおかまにひっかかったことがありません。だいたい、文章を読めばわかりますよね。メールを出したりすれば、なお、わかります。やたらに、「女」の姿を意識したりするのが、ネットおかまです。「女性」ならば、そこにいるだけで「女性」なわけですから、そういうことをする必要がありません。
 ま、ね。「お遊び」ならいいんです。どーせ、現実世界の投影とはいえ、インターネットは、まだまだ、仮想空間ですから。そういうものと戯れているのもいいかもしれません。

 ただ、俺が、インターネットに期待するのは、年齢や性別を越えたところにあるものと、やっぱり、現実世界では到底出会えなかった人と出会えること。メールを交わせること。趣味を分かち合えること。新たなものを知ること。そして、自分のことを知らしめること。
 だーかーらー、「オフミ」っていうのはやめましょうや。「会う」でいいでしょ、「会う」で。

 橋本治、おかまなのでしょうか。少なくとも精神的には、おかまなような、そうでないような。そもそも、小説に男女の性差があるということが問題になりますが(俺は「ある」と思うけど)、ま、関係ないとすれば、おかまかどうかという議論も無用な話です。
 さて、本日の一冊は橋本治「愛の矢車草」です。桃尻シリーズで有名で、源氏物語の現代語訳でこれまた有名なわけですが、どちらも読んだことがありません。いや、桃尻は、1冊だけ読んだかもしれません。毛嫌いというか、なんというか、避けていた作家ではあります。

 その、「愛の」という部分が・・・なんとも、胸焼けしそうな感じを覚えるのは俺だけなんでしょうか。以前、草の根BBSに入っていたとき、P・K・ディックの話で盛り上がって、その時ひょんなことから奨められました。1冊だけ買って読みましたが、当時は、さほどおもしろいと思わなかったみたい。
 そんなこともあって、どうも気になる作家の一人です。なんかね、読んではみたけれど、面白いのは面白いんだけど、これを「面白い」と云うには、俺はちょっと年をとってしまったし、本を読みすぎてしまった、という感じでしょうか。

 今日はちょっと気のない書評日記になってしまいましたが、ま、いいでしょう。そんな日もあります。
 では、おやすみなさい、また明日。

update: 1996/09/09
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