書評日記 第153冊
ボイジャー 松任谷由実

 忘れないうちに書いておこうと思う。最近、日記だというのに書く溜めをしているので、何時になるか分からないが、「大人の童話」「エッセー」を加えました。もうこうなると基本的に文字だけのHPという今時背景GIFもない奇妙なページ群になるけど、まあ、いいか。一週間おきに覗いて見て下さい。相変わらず表紙の「新着情報」は当てにならないのである。

 あ、そうそう、so-net相当重いらしい。誰ともなく・・・申し訳ない。ただso-netって全国展開をしているので何処にいっても近くにアクセスポイントがあって便利なんだよな。今、使っているのは海老名からのPPPだけなんだが、将来的にあちこち遠出をしてアクセスするとなるとこういうプロバイダの方が便利であるのと、まあ、潰れないだろうというのがミソなんだが・・・。今、俺のページはGIF画像なんてほとんど貼っていないのに、総計1.5Mbytesある。もう、ほとんどが文字です。文字だらけ。月1000円でHP使用3Mbytesというのは高いのかもしれないけど、まあ、面倒なのでしばらくこのまま。制限一杯になったら、20Mbytesとか貸してくれるプロバイダにでも引っ越そうかとも思っている。

 う、なんか今までの「書評日記」らしからぬ神妙な始まり方。しかも、まるで普通(?)の日記のようではないか。いや、なんというか、河合隼雄対談集「こころの声を聴く」を読んだり、デザインフェスティバルに行ってみたり、そしてその紀行文を書いてみたり、人の好みというものが解ったり、そうなると日記界のみであくせくしてても仕方が無いなあ、なぞと考えたり。ま、いろいろ。

 先日の土曜日にNHKで「松任谷由実とホーミー」・・・という題名ではなかったが、そういう内容の番組をやっていた。松任谷由実(「ユーミン」とは云わない・・・恥ずかしいので。)のファンである俺には必見の番組だったわけだが、そう、モンゴルのホーミーと結び付いているところに興味を覚えた。ホーミーを知らない人にちょっと説明して置くと、これは中国&モンゴルの伝統芸(?)で口から2音同時に発声させるという業であり、それを技術を使って歌を歌う。浪曲と笙の笛と同時に聴いているような感覚を想像すればいいだろう。以前、「びっくり人間」とか云う番組で中国のホーミー演奏者が日本に呼ばれていた。あの時は大した感動を覚えなかったのだが・・・そう、モンゴルの本物(?)の伝承者は両音ともはっきりと聞こえる。高音の方を松任谷由実は鉱物的な音と評していた。
 番組の主旨は、松任谷由実の声のオシログラフとホーミーのそれとが同じ波形をしている事。また、1/fの揺らぎや自然の音のように可聴音の上にある人間の耳には聞こえない音(2万ヘルツ以上)が豊富に含まれる事、そういう「音の魅力」が彼女の声にもホーミーにも含まれるという事実を示すのが目的であったらしい。
 いや、まあ、それはいいんだけど、俺が松任谷由実の声が好きなのは、あの半音上がり切らない部分だと思う。1/4音とでも云うのだろうか。矢野顕子の声もそうなのだけど、そういう西洋音階にはない日本の音、そして、東洋の音というのが俺は好きなのだ。自然と一体になる、とかいうと今流行(?)の「自然にやさしい」という事になり兼ねないが、まあ、西洋文化が自然を切り開き、自然と対決してきたところから発展してきたものであるに対して、東洋文化は自然に寄り添い、自然の中に抱かれつつ育ってきたという違いであろうか。胡弓の音色が懐かしいのも、モンゴルの結婚式に歌を歌う慣習が日本の中にもあるのも、そういう根底に流れる共通要素が表面化しているものではないか。というのは単に感傷的になっていた俺だからだろうか。

 んで、まあ、本日の一冊・・・というより、一曲は松任谷由実「ボイジャー」。俺が中学生の時に見た映画&小松左京原作のSF小説「さよならジュピター」の主題歌であった。ちなみに、この映画、日本のSFXとしてスターウォーズを目指していたようだが、うーむ、ちょっとストーリー展開に甘さがあったのか、あんまり話題にはならなかった。俺は、まあ、松任谷由実の主題歌を聴きに行くというとんでもない、目的で見に行ったことを覚えている。

 そうそう、松任谷由実の曲は、どれを聴いても同じ。・・・というか、クリスマス前に毎年1枚アルバムを出すのだけれど、ここ5年ぐらいだろうか、ぜんぜん変わんない。これがいいのか悪いのかわからないけれど、ただ、きちんとコンサートはやるし(行ったことはないけど)、CFにも必ず使われる&使わせる(?)し、そういう意味で俺の中では尊敬に値する人なわけだ。
 あとは、やっぱり「ニューミュージック」というもの先駆者であったことだろうか。彼女が居なければ、最近の9時ドラマも生まれなかったのかもしれない。そう、彼女の曲を聴いて育って、社会的に活躍する。中学高校と松任谷由実の音楽を聴いて育って、何かを得る。そうして何かを作り出す歳になり、誰かに影響を与える。そういう「循環」こそが大切じゃないかなあ、と思う次第。

update: 1996/09/09
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