書評日記 第567冊
夕顔 近藤ようこ
日本文芸社 ISBN4-537-00455-X

 お腹が空いたので夕食を作らずに外へ食事へ。知的労働は肉体労働よりも腹が減るのか減らないのか。低血糖症という病気が潜在的に増えているそうで精神的に不安定になる属に云う「キれる」ことの多い人は注意とのこと。器質的欠陥は精神的異常とイコールではないものの一要因として考慮すべき現象だと思う。甘いものを食べ過ぎることによって逆に食後の血糖値が下がる。と精神が不安に陥りやすく怒りっぽい性格になると云う。
 Cマガジンのとあるエッセーで死刑廃止への嫌疑を枕に述べていたけれども余り戴けるものではなかった。政治的発言とテクニカルライターとしての職業的立場を混同してはしまいかと思ったのだ。尤も、筆者はテクニカルライターをどう定義付けるか否かは私は知らないし雑誌に文を書くという行使能力を有している人が政治的発言をして良いのか否かとい問題は残るのだが、野坂昭如、石原シンタロウ(漢字は忘れた)、堺屋太一、と続くのであるから、権力行使と権力的立場とは同一なのかもしれない。サルトルはどうだったかな。
 
 という枕を引っ張り続けるのはネタが切れたからだ。日々漠然と生きているのは楽なのだが一冊本を読むのは楽ではない。書くのもまた然り。

 「夕顔」を買ったのは随分前だし、読んだのも随分前だ、と思っていたのだが今ぱらぱらと捲ってみるとほとんど読んでいなかったことが判明。「ホライズン・ブルー」を読んで以来近藤ようこに首ったけなのであるが、時代劇の方はいまいち馴染めなくてそのままなのだ。良い悪いというのではなくて芥川風というか文学少女嗜好というか私が山岸良子に近づかないように(と言いつついくつかは貸して貰った)何かヤバイ感じがあってのめり込むことが出来ない。そういう点では現代劇の方が平等に才能を分け与えられている感じがして安心する。
 「夕顔」はあとがきで近藤ようこ自身が書いているようにごちゃまぜの作品集になっている。いわゆる拾遺集になる。初出が85,86年の2年間で作品が10だから結構なハイペース(と彼女ならば思う)だったのではないか。各作品は粒よりで不可はない。本棚に置いておいて損はない一冊だと思う。
 これから読む予定。

update: 2000/07/10
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