書評日記 第576冊
アンナの工場観光 荻野アンナ
朝日文庫 ISBN4-02-264198-3

 バグ直し。をするならば自作のメーラ用 DLL を直した方がいいような気がするが、それは仕事ではないので市ヶ谷へ出っ張る。が、頭の中では構想を練っている。漫画のストーリーを終始練っていた時代がある。こういうキャラクタがいてこういう話をしてこういうオチがあってこういう絵柄で、と常に考えていた。漫画を書くのを止めた頃、頭が空っぽになって恐ろしくなった。何も考えずに時間を過ごすことが出来ない体質になっていた。脳に血を巡らせるために神経があらぬところで活性化されないために何かを考える。考え続けて疲れないのかと聞かれれば疲れないと即座に答えられる。むしろ何も考えない方状態の方が怖い。
 市ヶ谷に行くまでの電車でネットワークの試験勉強をして、つらつらと歩いている間にはメーラDLLの拡張部分を考える。漫画のネタは小説の題材を考える代わり、なのかもしれない。
 饒舌的な脳の働きは亢進症状か。
 
 杉浦日向子の「呑々草子」を期待しつつ荻野アンナでは無理だろうと思って買ったのだがその通りだった。無理というか方向性が違うというか、工場見学をするならば笙野頼子のように見学日誌を書けばいいのに、何故工場見学からスライドして最後に飲み食いに走ってしまうのか。
 でも、まあ、雑誌に書くのであればこの位のほうがいいのかな、と締めておく。
 「蜘蛛女のキス」の方が面白いのでこれまで。

update: 2000/07/26
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