書評日記 第18冊
グインサーガ52巻 栗本薫
角川文庫

 言わずと知れたグイン・サーガの52巻め。その最新刊「異形の明日」がこれである。著者は、栗本薫。ひとりの作者が書いた小説としては世界一の長さを誇る。当然、現在もその記録を更新中である。余談だけど、乳癌でやばくなった(これはあんまり詳しくない)ときもあるらしいのだが、現在は後遺症も無く(心身的にも仕事の面にも)バリバリの小説家している。

 ま、そんなことで、私はグイン・サーガを中学の頃(多分20巻前後だったと思う)から読み続けています。当時の日記(んー、つけていたんだ。やっぱり)にも、ちょこちょこそんな話も出てくる。今と同じで本の内容とかじゃなくて、グイン・サーガの世界観とか・・・ま、いろいろ。グイン・サーガっていうのは、その名の通り「サーガ」であるから、英雄云々というよりもその時代が綿々と綴られている感じなんだよね。
 今回のあとがきにも書いてあるけど(内容をばらしちゃルール違反だけど、「あとがき」ぐらいは、ま、いいでしょ)「長い目でみてね」って書いてある。いろいろ、ほんとにいろいろな話がグイン・サーガの世界では繰り広げられる。栗本薫の織り成す世界というよりも、また、読者と著者がつくる世界というよりも、そこには設定だけがあって、いわゆるキャラクターが自由に動いていく(思い入れのある漫画なり小説なりを自分で描こうとした人には実感できると思う)広がりがそこにはある。栗本さん自身が言っているけど、「書かされている」という形而上的なものがそこにはあるのかもしれない・・・し、ないのかもしれない。
 すくなくとも、ひとつの場面なりエピソードなりで終わるものではないから、当然サーガとして「広げに広げた大風呂敷」を楽しむのであるし、また「たたみ込む」手腕(これが、誰の手腕であるかわ、なぞ)に今後も期待したりするわけだな、うん。

 栗本さんの本はあまり読んでいない。この「グイン・サーガ」と「魔界水胡伝」、「猫目石」、「レダ」ぐらいかな。ちなみに中島梓ネームの方はまったく読んでないので、あしからず。私にとって栗本さんは、筒井康隆や安部公房、井上ひさし、大江健三郎等とならび、『全面的に信頼できる作家』のひとり。<全面的>っていうのでは何言っても(やっても)いいよ、っていうやつね。期待は裏切られるわけでもなく裏切るわけでもなく、白紙委任状ってわけだ。

 と、と、とっ、最後になっちゃったけど、ホームページがあるそうなので、リンクを張っておこう。「http://www.c2i.co.jp/tenro/」です。(ちなみに、私はFAN倶楽部とかには所属してません。)

 蛇足なんだけど、本当は「グイン・サーガに追いついた日」(多分、53、4冊めだと思う)っていうのでやろうとか思っていたんだけど、なんか、そこまで待てなくて書いちゃった。ま、他にたくさん切り札もあるし、ふふふふふ・・・・・。

update: 1996/06/15
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