書評日記 第50冊
靴の話 大岡昇平
集英社文庫

 新しいことと云えば、あさってからアトランタ・オリンピックか。(わざとらしいけどかの真似ではあるのよ。)柔道もマラソンもサッカーもあるけれど、俺のオリンピックはやっぱり体操&新体操です。地味ぃな鞍馬も、一瞬で終わる跳馬も、ぐるぐるまわる&空中サーカスっぽくなった鉄棒や、どったんどったん飛んでるところがあまり美しくない平均台も、たたたたたんぴょんぴょんぴょんびょんどったんの床、しゅるしゅるしゅるひゅうぅぅぅぅすたっのリボンや、ぐるぐるぐるかりかりぐいぃうぃんとんごんごんの棍棒、ぐるんぐるんぐるんぴたふらふらふらぐぐぐむむむむむがっくんがっくんの吊り輪、あーいいな、もうすぐだなあ、僕の楽しみな長野オリンピック。

 オリンピック・ネタを日記にして4年に一度書いている人っていないのかなあ、と思ってちょっとオリンピック(?)日記風に書いてみました。(おいおい。)

 そうそう、今日は50冊め。だけど記念ではないのだ。それは、40冊めの末尾を見るように。(なんで、40冊めにそんなことが書いてあるかは、神以外は、みな知っているのかもしれない。とほほ・・・。)

 さて、50冊めは大岡昇平の「靴の話」(集英社文庫)。ちょっと昨日、高橋和巳を読んでHEAVYなものに慣れたので、忘れないうちに載せとこうかな、と思っただけです。(でも、裏では「宮武外骨」を読んでぐふぐふ笑っているのであった。肝癪玉が破裂している絵、最高です。滑稽新聞、スコブル、野口茂平、もうなんだかわかりません。ま、まだ半分しか読んでないので、こっちの方は、また後日ってことで。)

 大岡昇平といえば、国語の教科書に「野火」、有名どころに「レイテ戦記」・「俘虜記」がある。(「東京裁判」も・・・と書こうとしたんだけど、年表をみたら載ってない。ってことは、「東京裁判」って誰だ?)「野火」の方は、教科書で『ヘビのペットの頭を唾をつけた指でごしごしこすってやる。』という一文(ま、あやふやだけど)を覚えている。確か食い物の話がちょっと続いて、最後に友人を喰ってしまう話だったような気がするのだが、よく覚えていない。小説家としての活動が39歳だそうだから、結構おそいほうなんだと思う。(だけど、松本清張は50歳(だったけ?)・・・と「大市民」に書いてあった。)
 ま、ともかく、大岡昇平は俺の中で大きな存在なのだ。何故かよくわからないけど、大きな領域を占める。(・・・やばいな、「東京裁判」がそうだと思ったのだけど、新潮文庫を見ても中公文庫を見てものっていない。ちなみに、「東京裁判」は、戦犯を扱った小説で、映画かドラマにもなったものである。元中将(だったと思うのだが)が米軍捕虜の扱いによる裁判の様子が延々続けられる話である。「悲の器」を読んで、ラストの裁判の場面から、ふと思い出したのであるが、これが大岡昇平じゃないとすると、いったい誰だったんだ?)

 気を取り直して、「俘虜記」の話をしよう。(残念ながら、「レイテ戦記」の方は半分しか読んでいない。読んでいる途中で、どっかにいってしまったのだ・・・なさけない。)こっちの方は、いわゆる捕虜の話である。確か、米軍の捕虜になって、その日本人捕虜の村でののんのんとした生活&そーいう生活に嫌気がさす云々を描いた話だったと思うのだが、うーん、記憶がさだかではない。
 「靴の話」であるが、こっちは所謂、戦争小説(副題にも大岡昇平戦争小説集とあるし)。短編だし、兵士の気持ちのつっこみ具合がちょっと物足りなく感じるところもあり、「俘虜記」を既に知っている人にはあまりお薦めできない。かといって、昇平初心者にもつっこみが甘い分、大岡昇平の上っ面のみを理解されかねない(端的に云えば「誤解」)ので、これもお薦めしかねる。
 そうそう、この文庫本、注釈が入りすぎている。170頁の内容に19頁の注釈は多すぎやしないだろうか。勿論、岩波のように古典を扱う場合は無理もないこと(特に欧米の古典は注釈は必須)なのだが、例えば、この注釈(これでは「語注」となっている。)最初の幾つかをとりだせば、ちょっと、これは読者を馬鹿にしてはいないだろうか、と思った。それとも、最近の高校生(装丁からして、その程度が対象?)は、こんなことも知らない、というか、知ろうとしないのだろうか。・・・それとも、知らないと思っているのだろうか。

 いや、今日はなんか失敗。最初にはしゃぎすぎた分、うまくいかなかったんかもしれん。自重、自重。ま、明日は大丈夫。もう、誰を書くか決まっているから。
 ヒントは、「!(ガン)」・・・わかる奴は、ま、船井しかおるまい。
 諸君諸嬢、明日まで、待たれよ。

update: 1996/07/18
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