書評日記 第569冊
あたしンち けらえいこ
メディアファクトリー ISBN4-88991-346-7

 長野へ旅行する計画。美ヶ原彫刻美術館に行く予定を立てる。温泉に浸かることが出来れば御の字か。明日電話する予定。
 
 結婚生活に憧れる人は多い。彼氏が浮気をしても結婚さえ約束すれば許してあげるというカップルもある(木曜日の夜中にある新助の番組……何回か見ているのに番組名を知らない)し、結婚をゴールと考える人は多い。が、当然の如く結婚はゴールではないし、性格を変化させる強制力を持たない。きっかけぐらいにはなるかもしれないが(親というコンプレックスから離れることができるので)生き方自体が変わる訳ではない。と、未婚の私が言うてもどうにもならないのだが、ひとつの例として、けらえいこの「セキララ結婚生活」は素晴らしい描写力を持つ。こんなにうまくはいかない(妻が職を持っていること自体が特殊かもしれないし)が、逆にそれほど悪くなるわけでもない。じゃあ、何なのかと言えば、不倫・浮気を肯定しない分野なので安心して読んでいられる、ということだけかもしれない。
 と、全く逆のところに「あたしんち」はある。親父臭い親父とオバハン臭い母、自分に弟ひとりという家族構成は「セキララ結婚生活」とは程遠い。勿論、けらえいこ自身が両方の生活に関わっているだけあって、両方共に家族代々の遺伝子らしきものは見え隠れする。サザエさん的日本国民標準家族、ちびまる子ちゃん風昭和40年代家族、松田優作主演家族、寅さん風家族、今時の家族、干刈あがた風片親家族、崩壊家族。日本で家族が崩壊しているというけれど、「家族」という定義は誰が決めたのかと言えば誰というわけでもなく、政治家や森永の社長やそごうがあんな風になっていれば、尊敬とか頑張りとか努力とか忍耐とかが吹っ飛んでしまってもおかしかぁない。
 千差万別な家族の風景があるのだろうしアメリカンな家族の絆が心理学的に日本の風土に合うわけでもない。乳臭い母性社会が良い訳でもなく暴力的な父性社会が良いわけでもない。
 それなりに理想と現実とが釣り合う場所に落ち着く。其処が居心地良ければ家族の場なのだろう……と締めておく。

update: 2000/07/14
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